
微熱に疼く慕情
第6章 【耽溺していく欲情】
シャワーを浴びる前にスマホの電源は切った
先輩と居る時はなるべく見ないようにしている
万が一、メッセージでも見られてしまったら完全にアウトだから
身の程を弁える……それを大前提とした関係だという事を常に意識しておかないといけない
黒崎さんを思いながら先輩とセックスするのは
あまりにも失礼なので気持ちは切り替えます
無意識に違う名前呼ぶと痛い目を見るのでそんなヘマはしないです
「隼人さん……もう欲しいです、挿れてください」
手を広げて受け入れる
先輩でいっぱいにして欲しい……そう伝わるように
リングをしていない先輩はやっぱり早かったけど
それでも愛されてるなって充分に伝わってくる
全ての愛を向けられて私のテリトリーに入ってくるから、時々怖くもなるよ
本当に私で良いのかなって……
私はきっと、先輩を選ばないのに
これ以上深い関係で居る事に罪悪感を感じてない訳じゃない
「好きだよ」って言われたら「私もです」と答える事が少しずつ苦しくなってくる
早く解放してあげなきゃ……なんて自分勝手な
「え…?」
「一緒に……暮らさない?こうして行き来するのも良いけど、俺は毎日でも一華の顔が見たいし、同じ家に帰るとか…良くない?そうなったら人事部には俺たちの関係言わなきゃ…だろうけど、急がないから考えといてくれない?お試しで同棲してみるのもアリだと思うし」
こんな話が出れば、私の悪い癖が出てしまう
何で付き合うと皆、同棲したがるのかな
結婚とか、意識しちゃうの?
「わかりました、考えておきます」としか答えられなかった
髪を撫でられてキスに応えて先輩の腕の中で眠る
「あ………でも、此処のマンション、少し前に更新したばっかです」
「あぁ、マジかぁ……ちょっと言うの遅かったね」
