
微熱に疼く慕情
第4章 【錯乱していく激情】
「無理だよ」
「何時になっても良いから、明日も仕事だし、泊まらせないだろ?」
私の行動と心情をよく理解している
お泊まりは週末どちらかだけ
平日は自分の時間を大事にしたい
現に、シフト休だと言うことも先輩には伝えてない
聞かれたら言うの忘れてたって言うつもりだった
それで機嫌悪くなっても気にしない
付き合ってるからって常に行動が一緒なのは御免だ
それくらいは理解してくれる先輩だと思っているし
誤魔化す要素はいくらでもある
「たまにはこういう事もあるの、付き合ってるんだし優先するのは当たり前でしょ?」
「俺との時間なくしてまで会う価値ある人なの?その彼氏は…」
「凄い自信だね、理解してよ、セフレってそういう事でしょ」
あぁ、もう、こんな話したいわけじゃないのに
仲を拗らせたいわけじゃないの
またイライラしちゃうからやめてよ
クローゼットから服を選ぼうとしてたら
後ろからハグしてきた
「ごめん……物分かり悪くて」
「……良いよ、今に始まった事じゃないし」
「ちゃんと理解するから、この部屋、出禁にしないで」
「……わかった」
くるっと回転させられ向き合う
「でも、俺の為じゃないオシャレとかメイクでもっと綺麗になるの、見ててこんなに辛いもんなんだな」
「だから帰ってって言ったのに…」
「終わったら会いたい……抱かれた後でも良いから」
「本気で言ってるの?」
「うん……最後は俺に帰って来て」
言葉を見失うってこの事を言うんだ
元カレだけど、こんな事させて良いの?
私は、何をさせたいの?
「今日は、ダメ……帰れないかも、だから」
大智にこんな顔させてこんな事言わせて
私は何してるんだろう
セフレの定義って何?
わかってて始まったんでしょ?
それでもこの胸の痛みは一体何の意味があるというの…?
