
碧と朝陽
第15章 安心
「あ、あれ?そういえば、なんで郁人の家がわかったんだ?」
だいぶ落ち着いてきた俺はふと疑問に思ったことを口にする。
「郁人?」
怪訝そうな顔をする碧。
「あ、ごめん、さっきの男の名前だよ……。」
はぁーーと大きなため息をつく碧。
「ちょっと前に話してくれた、高校の時のパートナーって奴?」
俺は黙って頷く。
「そっか、あいつがね……。場所はー……スマホだよ。位置情報。」
碧がスマホを持ち上げて言う。
「あー、そうか……」
碧ちょっと怒ってるな……。
俺はもう下手なこと言わないように黙ることにした。
気まずくて
下を向いていると、
「ごめん。また、抱きしめても良い…?」
碧が聞いてくる。
「え、あ、良いけど……」
俺が戸惑いながらも言うと、すぐにぎゅうっと抱き寄せられて、ドキリとする。
急にどうしたんだ?
「辛いのは、怖かったのは朝陽の方なのに……。朝陽が喜んでしたプレイじゃないってわかってるのに。嫉妬して、八つ当たりして、ごめん…。」
碧は俺の肩に顔を埋めながらそう呟く。
落ち込む碧は珍しい。
俺はなんとなく、碧の背中に手を回していた。
「いいよ、気にしてない。」
碧が嫌な気持ちになるのは当然だし、碧がいなかったら俺はどうなってたかわからない。
俺は優しく呟いた。
