
碧と朝陽
第14章 悪夢
俺の家の前に着くと碧は
「ここで良い?ベッドまで連れていく?」
俺に優しく尋ねた。
「ひ、1人になりたくない……」
俺は自分の本心を口にした。
今は1人になりたくない。碧と一緒にいたかった。
「わかった、鍵は?」
「これ」
碧に鍵を渡す。
「ありがとう」
俺たちは同じ家に入る。
俺の部屋に碧がいるなんて変な感じだ。
ベッドまで運んでもらい、そこに腰掛ける。
やっと一息つける……。
と思ったが、急にカタカタと身体が震え始めた。
な、なんだこれ……?
「は、は、う、ひゅっ、はぁ、」
息ができない。
俺は喉に手を当て必死に息をしようとする。
無理だ。やばい、死ぬ。
「朝陽!?やっぱりsub dropしてたか、くそ」
碧はすぐに俺をぎゅっと抱きしめ、背中をさすった。
「朝陽、大丈夫、俺がいるから。もう大丈夫。ゆっくり息して。」
碧の体温を感じると少しずつ安心してきた。
冷静になると、ちゃんと息が吸えるようになってくる。
「ふぅ、はぁ、はぁ、ん、碧、ありがとう…」
「うん、大丈夫」
碧はしばらく俺を抱きしめ、頭を撫でてくれていた。
温かい碧の手。
やっと家に帰ってこれた実感が湧いた。
よかった。碧がいてくれて、本当によかった。
俺は自然と涙が溢れた。
