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幸せな報復

第20章 夏が終わって

 なぜなら、けだもの族の恵美の人格が出現しているとき、人間のアイドル恵美の人格は眠っているのだから。正確にはけだもの族恵美の人格が学園アイドル恵美の人格を意図的に眠らせていた。
 欲情丸出しの人格が出現した恵美は変幻自在縦横無尽に四方のオスへ色香を放出させられた。けだもの人格の恵美が出現すれば色恋沙汰のトラブルは日常茶飯事となってしまうだろう。
 しかし、けだもの恵美の人格はさすがにけだもの族で培った経験があるので、彼女は闇雲に色香を周辺に放出したりしなかった。
 なぜなら、周辺の複数のオスが欲情したらさすがに好き者のけだもの恵美とは言えメス1匹では強靱な肉体を持ったオスを優位に迎え撃つ体力がないことは過去の経験で熟知していた。どんな世界にも上にはさらに上がいる、ということだ。
 基本けだもの族のメスは自分より肉体的に強いオスを求める。それでなければ、肉体が強いばかりでなく性欲の強いけだもの族の子孫を継承できないからだ。けだもの恵美の人格と肉体はけだもの族数万年の歴史が蓄積された完成形態だ。けだもの族メス10匹が恵美に挑んでもねじ伏せられてしまう剛力を持った超絶完成形態なのだ。恵美がその桁違いの能力を認識し使ってこそオスのだれもが溺れてしまう強力な色香を出せた。けだもの族の完成形態・恵美に落とせないオスは人間界にいない。そういう最低最悪のけだもの族が数万年を経て到達した絶対完全形態が恵美だった。けだもの族の頂点に立つ唯一無二のメスと言えた。
 だから、親子を自分の色香で速攻骨抜きにしてやるという恵美の野望は無謀でもない当然の行動であり完遂可能な報復計画だった。
 しかし、それは畑野親子が人間であったならばの話だ。彼らは人間界で生活しているが人間ではない。畑野勘太郎は狼男だ。そのことを恵美は知るはずなかった。
 彼女の根拠のない自信を持って伝統的掟に則って人間のオスからレイプされることなど達成可能な容易いミッションだった。さらに、恵美が親子にレイプされることを心から望んでいたのであるからこんな簡単な報復計画はない。
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