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シャイニーストッキング

第2章 絡まるストッキング1

 74 艶と光沢

「おう、大原くん来たかっ」
 私は汐留のステーキハウスで越前屋朋美と一緒に食事をし、山崎専務の誘いのままに銀座のクラブ『へーラー』に来たのだ。

「大原さん、いらっしゃいませ…」
 するとすかさずホステスである松下律子がおしぼりを手にして隣に座る。
 すっかり彼女はこのクラブでのママ公認の専属ホステスとなっていた。
 そしてすかさずブランデーグラスにクラッシュアイスを入れてヘネシーブランデーを注ぐ。

「じゃあ、大原くん、お疲れ」
「はい、ありがとうございます」
 軽くグラスを合わせ、乾杯のカタチをする。

「あら、今日は何かあったの…」
 その様子を見てママがすかさず訊いてきたのだ。

「うん、今日は大原くんが……」
 山崎専務が今日の資産運用管理部での私の事を軽く話した。

「あら、そうなの、それはご苦労さまです」
 ママは内容は分かっていないのだか、話しを合わせてそう言ってきたのである。

「それは大変でしたね…」
 だが、隣に座る律子は聡明であるから、ある程度は分かっているようであった。

「まあな、腹を括ったよ…」
 そして軽く前後の流れを律子に話した。

「そんな話し、してくださるなんて…」
 律子は嬉しそうにそう呟いてきたのだ。
 その顔が、また、美しく、一瞬の内に土曜日の夜の逢瀬を思い出させてきたのである。

 いかん、まだ、昼間の興奮が…
 そうである、越前屋朋美と一緒にステーキハウスで食事をし、彼女の笑顔で心を和ませ、更にゆかりと話して穏やかに落ち着いた筈なのに、また、こうして律子を見て昂ぶりが蘇ってしまったのだ。

 なぜか、律子には不思議な魅力があるんだ…
 そして何気ななく、組んだ律子の脚を見てしまう。
 スリットの入った濃紺のドレス風のワンピースからスラリと伸びる、透明感のある、そして妖しい光沢と艶を放っているストッキング脚が、更に私の心を魅了し、魅きつけてくるのである。

 ああ、本当に堪らないストッキング脚の艶だ…
 ゆかり、美冴もそうなのであるが、律子のストッキング脚もフェチな嗜好には堪らない脚なのだ。

「大原くん人選は進んでいるのか」
 そんな私のフェチの思考を破るかの様に山崎専務が訊いてきた。

「はい、大分進んではいるんですが、最後の詰めは佐々木課長と、あ、いや、佐々木新部長と明日やろうかと…」




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