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シャイニーストッキング

第17章 ほつれるストッキング 1         佐々木ゆかり

 45 意図…

「今は…ね…」
 蒼井美冴はそう呟き、武石健太を見る。

「……」
 わたしは思わず、息を飲む…

「でもね…」 
 すると彼女は、視線をスッと佐々木ゆかりに向け、すぐに彼、大原常務を見て…

「……」
 わたしに戻す。

「でもね…三人だけよ…」

「え…」
 ようやく声が出た…

「…でも……」
 そして逸れずに、わたしを見つめ…

「でも…知ってるのは……」

「……」

「わたし…だけよ……」

「あ…え…」

「うん…そう…」
 そして彼女は、また、スッと視線を佐々木ゆかりに向け…

「ゆかりさんは…知らないの……」

「…え……」

「うん、知らないの…」
 彼女は、また、視線を戻し…

「知ってるのはわたしだけ…だから……」
 
 そう、わたしに告げた――

「……」

 それは、つまり…

 わたしだけが、知らされている――

「あ…」

「うん…」
 彼女は、意味あり気な目を向けてくる。

「そ、それは…」

「ま、そういうこと…」

「え?」

「うん」

 そして彼女特有な、妖艶な笑みを見せ、そう小さく頷き…

「松下さんの…好きに…すれば……」

 そう、囁いた――

「え…」

『好きにすれば…』

 それは、どういう意味なのだろう?――

「……」

 彼女、蒼井美冴の、意図が読めない…

「……」

 おそらくは、このわたしのシャネルの香りの意味に気付き、すかさず、こうしてわたしの前に立ち塞がってきた…
 それは、つまりは、佐々木ゆかりを助ける為。

 だが…
 いや…
 蒼井美冴は、佐々木ゆかりの味方ではないのか?

 佐々木ゆかりも知らない秘密を、こうしてわたしに曝し…
『わたしの好きにしろ…』と、言う。

 意味が、分からない…

 いや、果たして蒼井美冴は…

 敵なのか、味方なのか?

「……」
 
 わたしは、言葉を失っていた――

「さあぁ、お姉さぁん……
 あ、松下さぁん、どうぞぉぉ……
 あぁ、蒼井さんもぉ……」

 と、突然…
 ビール片手に越前屋さんが現れた。

「え……」

「っ……」

 そして、越前屋さんの突然の登場に、わたしと蒼井美冴との緊張感が、一気に崩れた…

「ふうぅ…」

「はぁぁ…」

 その登場は…

 良くも悪くも、絶妙なタイミングといえた。
 


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