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シャイニーストッキング

第6章 絡まるストッキング5 和哉と健太

  105 突然の再々会

「い、いや、こちらこそです…
 あ、僕は、お、奥山和哉です…」
 と、慌てて恐縮して挨拶を返し、そして何気なくその家族の座っている席を見る。

 あ、おばあちゃんか…

 うん、お姉さんか…

 違うっ…

 えっ…

「あっ…」

 僕はそう絶句して、一瞬にして固まってしまった。

 あっ…

 えっ…

 なんで…
 
 どうして…

 どうして、み、美冴さんが…

 美冴さんがここにいるんだ…

 ドキドキドキドキドキドキ…

 僕の胸が一気に高ぶり、昂ぶってきたのだ。
 
 そして、驚きと不惑の想いが騒ついてきたのである。

 なんで、康くんと美冴さんが一緒にいるのか…
 
 えっ、叔母さんって…

 美冴さんが…
 
 美冴さんが康くんの叔母さん…

 えっ、家族なのか…

 ドキドキドキドキドキドキ…

 胸の昂ぶりが更に激しくなってきていた。

 まるで、狐につままれてるみたいだ…

 ドキドキドキドキドキドキ…
 
 あっ…

 美冴さんが、僕を見つめていた。

 そして、僕も思わずその視線に目が囚われてしまい、一瞬なのだが見つめ合ってしまったのだ。
 だが、その一瞬が僕にはとても長く感じたのである。

「あっ、そうかぁ」
 と、その時、康くんの感嘆の声が聞こえ、そんな僕と美冴さんの一瞬の氷結を融かしたのだ。

「あのぉ…
 この前和哉さんの言っていた、きれいなお姉さん的な女性ってぇ…
 この、美冴叔母さんの事だったんすかぁ…」
 と、康くんがそう僕に言ってきたのだ。

「あっ、ああ、う、うん…」
 僕はあまりにも動揺をしてしまい、肯定とも否定とも、どちらとも取れる様な曖昧な呟きをした。

「えっ、きれいなお姉さん的なってぇ…」
 と、康くんの母親が不思議そうな声で訊いてくる。

「あっ、なんかぁ、この前の夜に、和哉さんが、お釣りを渡しそびれちゃったみたいでぇ……で、それが…
 綺麗なお姉さん的な…ってぇ…」
 と、康くんがこの前の突然の再会の夜のお会計時の経緯を僕から訊いたのだ…
 と、母親に話しをした。

「あっ、そ、そうなんです…」
 僕は慌てて康くんのフォローをしたのだ。
 なんとなくなのだが、少し恥ずかしかったのであった。

「あっ、お釣りが20円あるんです…」
 僕は咄嗟にそう言った…





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