シャイニーストッキング
第16章 もつれるストッキング5 美冴
83 最悪でひどい夜…(7)
この冷たいビールによって、わたしの心は一気に冷え…
昂ぶりがスーッと醒めたのだ。
「え……」
さすがに彼も、わたしの目の色の変化に気付き、察したのだろう…
そんな動揺の声を漏らし、彼の目の色が弱々しく翳った。
「はぁぁ…」
そしてわたしは続けて吐息を、いや、すっかり昂ぶりから醒めたため息を吐き…
ゆっくりと彼に顔を向け、その目を見つめていく。
「ぁ……」
すると彼は、小さな声を漏らし、目を泳がせてくる…
それは、さっきまで、わたしを散々焦らし、狂わせ、エクスタシーという快感の海へと沈め、溺れさせた、勝ち誇ったオトコの目の色とは一転して弱々しい…
その目はまるで、怯えの色。
怯え…
それは、昂ぶりが醒めたあとにだけ露わになる…
現実への震え。
つまり、今日の常務室での対峙の際に、露になってしまった松下秘書との下卑な関係…
ゆかりさんへの裏切り…
わたしの失望…
それらの現実が、再び、心に甦った動揺…
その裏切りの露見が、今さら怖くなったのだろう。
「………」
わたしはそんな事を、彼の目から一瞬にして読みとり、無言で見つめていく。
「あ…い、いや、だ、大丈夫か?…」
すると彼は、再びタバコを咥え、火を点けながら、必死に取り繕うように訊いてきた。
「え、大丈夫って?」
わたしはすっかり醒め、澄ました、冷静な声音で問い返す。
「あ、ほ、ほら、また、例の…ほら、アレの、アレみたいに…な、なったからさ…」
しどろもどろで、必死に応えてくる。
「アレって?」
「ほら、アレだよ、あの、心が…」
「あ、あぁ、自律神経の暴走ね…」
解ってはいたのだが、わざとイジろうと惚けて返す…
「う、うん、そ、そう、その…アレだよ……」
「うん、ありがとう…おかげさまで…」
わたしは嫌味を込めて…
「おかげさまで…
最悪なくらいに治まったわ………」
そう応える。
そう、ワザと、また『最悪…』って…
本当に…
『まったく…
そんな狼狽えるくらいなら、もっと堂々としてれば良かったのに…』
また、再び、あの『バー波道』での、心の慟哭の想いを浮かべながら…
その意を込め、冷たく見つめていく。
この冷たいビールによって、わたしの心は一気に冷え…
昂ぶりがスーッと醒めたのだ。
「え……」
さすがに彼も、わたしの目の色の変化に気付き、察したのだろう…
そんな動揺の声を漏らし、彼の目の色が弱々しく翳った。
「はぁぁ…」
そしてわたしは続けて吐息を、いや、すっかり昂ぶりから醒めたため息を吐き…
ゆっくりと彼に顔を向け、その目を見つめていく。
「ぁ……」
すると彼は、小さな声を漏らし、目を泳がせてくる…
それは、さっきまで、わたしを散々焦らし、狂わせ、エクスタシーという快感の海へと沈め、溺れさせた、勝ち誇ったオトコの目の色とは一転して弱々しい…
その目はまるで、怯えの色。
怯え…
それは、昂ぶりが醒めたあとにだけ露わになる…
現実への震え。
つまり、今日の常務室での対峙の際に、露になってしまった松下秘書との下卑な関係…
ゆかりさんへの裏切り…
わたしの失望…
それらの現実が、再び、心に甦った動揺…
その裏切りの露見が、今さら怖くなったのだろう。
「………」
わたしはそんな事を、彼の目から一瞬にして読みとり、無言で見つめていく。
「あ…い、いや、だ、大丈夫か?…」
すると彼は、再びタバコを咥え、火を点けながら、必死に取り繕うように訊いてきた。
「え、大丈夫って?」
わたしはすっかり醒め、澄ました、冷静な声音で問い返す。
「あ、ほ、ほら、また、例の…ほら、アレの、アレみたいに…な、なったからさ…」
しどろもどろで、必死に応えてくる。
「アレって?」
「ほら、アレだよ、あの、心が…」
「あ、あぁ、自律神経の暴走ね…」
解ってはいたのだが、わざとイジろうと惚けて返す…
「う、うん、そ、そう、その…アレだよ……」
「うん、ありがとう…おかげさまで…」
わたしは嫌味を込めて…
「おかげさまで…
最悪なくらいに治まったわ………」
そう応える。
そう、ワザと、また『最悪…』って…
本当に…
『まったく…
そんな狼狽えるくらいなら、もっと堂々としてれば良かったのに…』
また、再び、あの『バー波道』での、心の慟哭の想いを浮かべながら…
その意を込め、冷たく見つめていく。
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