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シャイニーストッキング

第6章 絡まるストッキング5 和哉と健太

 101 8月9日午後6時45分

 わたし、母親、姉、姉の長男康徳の四人で、甥っ子である康徳のバイトをしているファミレスへ食事に来たのだ。

「いらっしゃいませ、あ、康くん…」

「あっ、店長、お疲れさまっす、今日は家族で食事に来ました」

「あ、康徳の母親です、いつもお世話になっております…」
 と、姉がすかさず店長に深々と頭を下げてご挨拶をする。

「あ、いえ、こちらこそ、康くんは凄く仕事が出来て、本当に助かってます」
 と、姉と店長が恐縮合戦の挨拶を交わす。

「じゃあ、どうぞごゆっくり…」
 店長はそう声を掛けてくれ、席を案内してくれた。
 その間、わたしはドキドキしながら、さりげなく店内をチェックした。

 今夜は和哉はいないようだ…

 わたしはホッとする。

 一応、覚悟をしては来たのであるが、もしも再会するなら、この前の夜の様にもう少し遅い時間で、しかもわたしが一人の時がよい…
 と、そう思っていたのだ。



「結構、店長って若いじゃないのぉ…」
 姉は上機嫌で康ちゃんに言った。

「確か、まだ、28歳って言ってたかなぁ」
「へえぇ、そういえばファミレスの店長って激務らしいわねぇ」
 と、姉が呟く。

「さあ、何を食べようかしら…」
 なぜか今夜の姉はご機嫌のようである。

「あっ、美冴っ、食欲も復活したの?」
 わたしは頷いた。

「そうかぁ、じゃあ、ご馳走してあげるから、好きなの食べなよ…」
 と、嬉しい言葉を掛けてくれる。
 そして、そんな言葉にも、姉と母親の心配の苦労が伝わってきたのであった。

「ありがとう…」
 そして、ごめんなさい…
 と、心で謝罪をする。
 せっかくの場の雰囲気が悪くならないように言葉には出さなかったのである。

「じゃあ、何を食べようかしらぁ…」
 と、わたしはメニューを見ていく。

「あっ、和哉さん、ちぃーす」
 すると突然、康ちゃんのそんな言葉が聞こえたのだ。

 えっ…

 わたしは恐る恐るメニューから顔を上げる。

 あっ…

 そこに、和哉が立っていた…






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