
シャイニーストッキング
第15章 もつれるストッキング4 律子とゆかり
72 スイッチ
「でも…疲れないのか?」
そう彼は彼なりにそんなわたしを心配してくれるのだが…
「はい、大丈夫ですから」
わたしは精一杯、虚勢を張っていた。
「うん、わかったけど…
なんか却ってランチ誘って悪かったかな?」
そんな彼、大原常務の優しい言葉が心に刺さる。
「そ、そんなことはないですし誘っていただけて嬉しいんですけど…
ただ自分の為にもこうして精一杯、律していないと…」
そうそれはまるで、自分に言い聞かせる意味での応えでもあった。
「うん、そうか…」
「逆に却ってすいません、気を遣わせてしまって…」
ふと心が緩む。
「ほらその笑顔、それでいいんだよ、ううん、昼飯食ってるんだから笑顔が普通なんだぜ」
どうやらわたしはつい緩んでしまったようだ…
「はい、でも…」
「いいんだよ、それにこれからは昼飯は個室のある店にしようか…なぁ…」
そんな彼の優しい言葉に、すっかり心の壁を壊されてしまう…
「は、はい…」
「ま、いいじゃないか、とりあえず味わって食べなさい」
「は、はい…」
そしてわたしは虚勢という警戒の心の壁を彼のそんな優しい言葉にすっかり壊されてしまう…
「いいんだよ、また、本社に戻ったらしっかりとスイッチを入れてもらわなきゃならないんだから…」
スイッチ…
そう、このランチを済まし、本社に帰ったら…
彼女…
佐々木ゆかり準備室室長が彼、大原常務との面談を待っているのだ。
面談…
それは急遽、新潟出張で決めた、新潟支社第一秘書である竹下雪江の東京への異動…
つまりは佐々木ゆかり準備室室長が率いる『新プロジェクト企画準備室』への異動の経緯の説明。
本来、あくまでも大原常務裁量の範囲内での異動内示辞令で済むのだが…
その辞令は、さすがにその準備室室長である責任者の彼女、佐々木ゆかりに対して蔑ろにはできない内容と理由であるから、大原常務から直接彼女への経緯を説明する責任というモノが生じる訳であり、つまりは、その経緯説明のアシストをわたしが、いや、きっと結果的にはわたしから説明しなくてはならない流れになることが予想される。
そしてそれはつまり…
わたしの大原常務、いや、大原浩一という一人の愛する男の最大のライバル、恋敵との対峙となるのだ。
そのスイッチを入れなくちゃならない…
「でも…疲れないのか?」
そう彼は彼なりにそんなわたしを心配してくれるのだが…
「はい、大丈夫ですから」
わたしは精一杯、虚勢を張っていた。
「うん、わかったけど…
なんか却ってランチ誘って悪かったかな?」
そんな彼、大原常務の優しい言葉が心に刺さる。
「そ、そんなことはないですし誘っていただけて嬉しいんですけど…
ただ自分の為にもこうして精一杯、律していないと…」
そうそれはまるで、自分に言い聞かせる意味での応えでもあった。
「うん、そうか…」
「逆に却ってすいません、気を遣わせてしまって…」
ふと心が緩む。
「ほらその笑顔、それでいいんだよ、ううん、昼飯食ってるんだから笑顔が普通なんだぜ」
どうやらわたしはつい緩んでしまったようだ…
「はい、でも…」
「いいんだよ、それにこれからは昼飯は個室のある店にしようか…なぁ…」
そんな彼の優しい言葉に、すっかり心の壁を壊されてしまう…
「は、はい…」
「ま、いいじゃないか、とりあえず味わって食べなさい」
「は、はい…」
そしてわたしは虚勢という警戒の心の壁を彼のそんな優しい言葉にすっかり壊されてしまう…
「いいんだよ、また、本社に戻ったらしっかりとスイッチを入れてもらわなきゃならないんだから…」
スイッチ…
そう、このランチを済まし、本社に帰ったら…
彼女…
佐々木ゆかり準備室室長が彼、大原常務との面談を待っているのだ。
面談…
それは急遽、新潟出張で決めた、新潟支社第一秘書である竹下雪江の東京への異動…
つまりは佐々木ゆかり準備室室長が率いる『新プロジェクト企画準備室』への異動の経緯の説明。
本来、あくまでも大原常務裁量の範囲内での異動内示辞令で済むのだが…
その辞令は、さすがにその準備室室長である責任者の彼女、佐々木ゆかりに対して蔑ろにはできない内容と理由であるから、大原常務から直接彼女への経緯を説明する責任というモノが生じる訳であり、つまりは、その経緯説明のアシストをわたしが、いや、きっと結果的にはわたしから説明しなくてはならない流れになることが予想される。
そしてそれはつまり…
わたしの大原常務、いや、大原浩一という一人の愛する男の最大のライバル、恋敵との対峙となるのだ。
そのスイッチを入れなくちゃならない…
