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シャイニーストッキング

第6章 絡まるストッキング5 和哉と健太

 99 現実主義

 今、この時、この和哉が、現在の自分を好きで愛してくれているという事も十分に実感しているし、分かっているし、自信もあった…
 そしてこれが今の現実だから、不安や嫉妬心など湧き様もなかったのだ。

 誰だって過去はある…

 あるから今がある…

 ふと昔の彼女を思い出したっていいじゃないか、わたしだって時折ストッキングが好きだった元彼を思い出したりするのだから…
 わたしはこんな前向きな現実主義なのであった。
 だが、そんなわたしでも、なぜか昨夜の和哉の様子や、目付き、表情に違和感等を感じてしまっていたのである。

 なんか違う…

 何かがあったのか…

 でも先週は、ずっとバイトをしていた筈なのだ。

 だから…わたしの勘違いなのか…

 だが、なぜか、わたしの女の勘が、直感が、和哉に対する微妙な違和感を、感じ、心に囁いてくるのであった。

 なんだろうか…

 いつも、たまには、そんな空虚な感じが一瞬あったのだが、昨夜からはそんな想いを多々、長く、何度となく、感じるのだ。

 なんだ…

 和哉はちゃんとわたしを見てくれているのを感じているのだが、昨夜からのその目には、わたしが写っていない時が多々あるのを感じていた。
 和哉は時折、わたしを通り越して、いや、その後ろにいる不思議な存在を見ている様に感じてしまうのだ。

 誰かが居るのだ…

 いや、現れたのか…

 なんだろうか…

 女の勘が、そうわたしに囁いてきていたのである。
 だが浮気をしている等はないし、それは全く感じられはしないのだ、だからそんな想いは決して嫉妬心とは違うのだ。

 嫉妬心ではない、だが、この違和感は一体なんだろうか…

 とにかくわたしには昨夜、和哉と愛し合っている最中から、なんとなく感じていたのである。

 女の勘が囁いてきていたのだ…

 だが、その違和感は現時点では知る由もなく、また、調べようもない。
 
 つまりはどうにもならないのである…

 この今回の和哉がお盆の帰省から戻ったならば、そしてその時もまだ違和感を感じるようであるならば、その時は

 はっきりと直接追及するか…

 ちゃんと話しをし彼の心に訊いてみようか…

 わたしはタクシーに乗り、和哉の姿が駅に消えて行く姿を見ながら、そう考えていたのである。

 あと三日、三日待つのだ…




 

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