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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

 124 覚めた心…

 2561ページからの続きとなります…


「いや、うん、そうなんだ、電話して秘書の松下くんにホテルも聞かないとはっきりと分からないんだ」
 
 私はこの永岡支社長専属秘書の竹下雪恵に対してそう応え…
 そしてその応えの言葉が、彼女の強力な色気と艶気、いや、たっぷりな肉惑的といえるフェロモン攻撃に揺らぎ、揺れ、揺さぶられ、すっかりとオスの高まりと昂ぶりに支配されつつあった私自身を目覚めさせるいい機転となったのだ。

 あ、ふうぅ…
 脳裏いっぱいに浮かんできた律子の美しく凛とした顔が、私の心の冷静さを取り戻してくれてきた。

「えぇそうなんですかぁ…
 でもぉきっとぉ、グランドホテルですよぉ、この新潟市で一番のホテルだしぃ…」
 
 だが本当に律子に訊かないとわからないのだ…
 それに私は無償に律子のあの心を揺さぶる甘い声が聞きたくなって、いや、早く律子の元に帰りたくなってきていたのである。

「でもぉ、まだ9時ちょっとですしぃ」

「…………」
 だから私はそんな彼女の更なる誘惑の仕掛けの言葉には応えずに、携帯電話を取り出して律子に電話を掛け…

「あ、松下くん、私だ」
 と、敢えて毅然とした声音で発し…

「もう間もなくホテルに戻るから……あ……うん……そうか、じゃ、フロントで待っててくれたまえ」
 そう竹下くんに聞こえるようにはっきりと受け答えをした。

「えぇ、もうお帰りになられるんですかぁ?」
 彼女がこのやり取りを聞き、甘えた声音で囁きながら、また再び腕を絡めながらその巨乳を押し付けてきたのだが…

「うん、今夜は疲れたし、また明日もあるから帰ろう」
 と、私は彼女に対して毅然と応えたのだ。

「えぇぇ、まだ9時ちょっとなのにぃ」
 更にグイグイとその巨乳を押し付けてくるのだが、私の目覚めた心はもう揺るがなかった…
 なぜならば、さっきの電話で聞こえてきた律子特有の心震わす甘い声音により、脳裏には律子という存在感でいっぱいに、いや、再びいっぱいになったから。

「うん、帰ろう…キミも明日もあるし、疲れているだろう?」
 そして今夜の、いや、今の彼女のこんな誘惑の全ての仕草に対してのイヤミを含めてそう言った。

 仕草…
 そう、正に彼女の今の行動は仕草、いや、私を必死に誘惑しようという必死の演技とでも言い表せるであろう。


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