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シャイニーストッキング

第16章 もつれるストッキング5  美冴

 87 最悪でひどい夜…(11)

 急に再沸してきたわたしの、醜い『ヒガミ』という…
 もう割り切ったはずの、欺瞞の残滓。

 その醜い、濁情の残り火が、また、彼のこの情けない姿と、ズレた、的外れな謝罪から再燃してしまったみたい…

『まずは…謝るべき相手は、ゆかりさんなんじゃないのっ』
 というゆかりさんの名前を云えない心の抗いであり、微かな良心の呵責からの無意識な涙。

 そして…
「あぁ、ホントに情けない…」
 再び、零れたこの言葉。

 お互いにみっともない…
 思わず漏れた、心の本音。

 この内心の苛立ちから涙を溢しながらも、彼の目をキッと見つめ…
 鼻腔の奥に漂うゆうじという心に潜む存在に…

 ゆうじ、いいよね…
 わたしはあの碧い目を浮かべ、問う。
 
 わたしには…
 わたしのこの先の見据える未来には、彼の存在が、絶対的に必要なの…
 だから…
 だから、彼を正面から奪うのではなく…

『ゆかり』さんとの関係を壊し…
 奪い捕る…………
 二人の間を壊し、裂く。

 松下秘書なんてどうでもいい…
 わたしの魅力で奪うんだ。
 
 そう、そんな略奪という欺瞞の昂ぶりを心いっぱいに思い巡らせ、再燃させ…
 それは、メスの淫らな衝動を押してくる。

 わたしは彼の腕に背をもたれかけながら、ゆっくりと、ボロボロのストッキング脚を伸ばし…
「こんなに……して…さ……」
 顔を持ち上げ、唇を寄せていく。

「え……あ…み、みさえ………」
 彼は、この、豹変といえるわたしの甘えに、戸惑いの揺らぎの呟きを漏らすのだが…
 オスの本能からなのか…
 グイッと肩を、カラダを抱き寄せ、自らも唇を寄せてきた。

『こんなに……して…さ……』
 それはストッキングだけではなく…
 わたしの心の壁をもボロボロに壊し…
 そして、わたしとゆかりさんとの関係をも壊してしまう…
 そんな象徴のストッキング脚を彼の腰に絡めていく。

 そのボロボロのストッキングが絡まる様は…
 まるで彼の心とカラダを蝕む翳のよう…

 唇が触れる寸前…

「壊してあげる……」

 昂ぶる目を見つめながら、そう囁く………

 

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