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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

 122 秘書 松下律子(32)

「え、ニュアンスがって?」

 わたしはそんな彼の言葉に少しずつザワザワと心が騒めきを感じていた…
 なぜならわたし的にはそんな彼の含みのある言葉に、最悪な思いが予想されてきていたからである。

 その最悪な思いとは…

「つまり、そのぉ…」
 おそらくは、このわたしのそんな心の騒つきが彼に伝わったのであろう…
 少し言い澱む。

「ま、そんな腰巾着でもあるから、そのぉ、つまり、永岡支社長もそんな真中前常務に便乗して…囲うというかぁ…
 そのぉ…」

「え、そうなのっ」
 わたしのその騒つきは、苛立ち、いや、怒りへと変わる。

「あ、え、ま、まぁ…で、でも、彼女達も、この社内で必死に生き抜こうという気概の表れって……」
 彼が、そう真剣にそのおそらくは秘書課の誰かを、いや、秘書課全体を庇ってきているのは理解はできるのだが…
 
「そ、それに、いわゆる真中前常務の腰巾着的な支社長のいる地方支社の何箇所かは、おそらくは影響を受けて同じ様ではあろうか?と…」
 その諸悪の権現的な真中前常務は、彼曰くの腰巾着的な支社長をおそらくは関東甲信越地方に配置をし、纏めつつあったという山崎専務、おじさまからの情報は確かにあった。

「そ、そうなんだ…」
 わたしはそれらの情報は、現時点ではまだ、彼には内緒にし、知らないフリをする。 

「そしておそらくは、そんな秘密の接待課的な秘書課は実は…
 各腰巾着的な支社長のいる支社はある程度の成果を上げてはいて…」

「えっ、そうなの?」

「はい、実はウチの会社は大手とはいえ国内では三番目なんですが、この腰巾着的な支社長の支社に限っての大手契約、つまりは、その地方の代表的な地場産業的な企業や各官公庁等々に於いての契約率は大手二社を差し置いて…一番なんです…」

「…………」
 それはつまりは、そんな各地方の大企業や各官公庁のお偉いさんに対しての…
 枕営業的な成果であるという意味を表しているのだと思われるのだ…
 いや、間違いなくそうに違いない。

 そしてそれは彼の言葉も如実に表しているといえ…
 わたしの怒りは一気にピークとなった。

「そ、そんな、最悪だわ、女を、オンナをあまりにも馬鹿にして、いや、し過ぎよっ」
 無意識に声を荒げてしまう。

「あ、はい…」
 
 そしてこれが、これこそが…



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