
シャイニーストッキング
第14章 もつれるストッキング3 常務取締役大原浩一
112 機転…
「ふぅぅ、なんかぁ、夜景を見るとぉ、胸がぁドキドキしちゃうぅ、ほらぁ」
そしてそんな彼女のわざとらしい、見え見えの甘い罠の誘いの言葉にも分かっているのに、昂ぶりを感じてしまっているし…
なによりこの彼女のポテっとしたやや厚みのある、口紅による艶々とした唇に私は目を、いや、魅入ってしまっていた。
ズキズキズキズキ…
そして心もカラダもすっかりと昂ぶってしまい、完全にこの彼女に陥落寸前まで陥ってしまっていたのである。
「あら、ねぇ大原さんはぁ?」
すると胸を密着し、腕を、いや、指先まで絡めてきている彼女が、私の左手の指先に絡めながら薬指の確認をしたのだろう…
そう訊いてきた。
「あ、うん、そうバツイチさ」
「あら、そうなんですかぁ、意外ですねぇ」
「え、意外って?」
「こんなに素敵で魅力あるのにぃ」
「あ、いや、まぁ仕事をやり過ぎちゃってね、ま、色々とね…」
「そうなんですかぁ、お仕事の出来る男は魅力的なのにぃ」
と、まるで歯が浮くような言葉を言ってくる。
そしてすっかりと罠に陥ってしまっている私は満更でもない思いを感じてしまっていた…
いや、もう、何を言われても浮かれてしまうようであった。
「あ、そう…今夜は『グランドホテル』でしたわよね?」
「え、あっ、いや?…」
そんな彼女の甘い罠は最後の仕上げとばかりに、そう攻めてきたのだが…
実は私は今夜のホテルがどこなのかも聞いてはいなかったのである。
この接待が終わったら律子に電話をする手筈となっていたからである…
そしてこの彼女の問いかけが、スッと私の惚けた心を目覚めさせてくれる機転となったみたいであった。
この一瞬にして、私の心に律子の、いや、あの愛しく、美しい律子の顔が脳裏いっぱいに浮かんだのである…
「あっ、い、いや、ホテルは松下くんから訊かないと知らないんだ」
「え、そ、そうなんですか?」
おそらくは彼女自身も、この瞬間に、私から律子の名前が出た事に少し慌てたみたいであった…
そしてそれはまた、やはり、内心、彼女は私と律子の関係を怪しんでいるという思いの現れともいえたのだ。
「うん、そうなんだ、電話しないと分からないんだ」
あ、はぁぁ…
脳裏いっぱいに浮かぶ律子の顔が、私の心の冷静さを取り戻してくれてきた。
「ふぅぅ、なんかぁ、夜景を見るとぉ、胸がぁドキドキしちゃうぅ、ほらぁ」
そしてそんな彼女のわざとらしい、見え見えの甘い罠の誘いの言葉にも分かっているのに、昂ぶりを感じてしまっているし…
なによりこの彼女のポテっとしたやや厚みのある、口紅による艶々とした唇に私は目を、いや、魅入ってしまっていた。
ズキズキズキズキ…
そして心もカラダもすっかりと昂ぶってしまい、完全にこの彼女に陥落寸前まで陥ってしまっていたのである。
「あら、ねぇ大原さんはぁ?」
すると胸を密着し、腕を、いや、指先まで絡めてきている彼女が、私の左手の指先に絡めながら薬指の確認をしたのだろう…
そう訊いてきた。
「あ、うん、そうバツイチさ」
「あら、そうなんですかぁ、意外ですねぇ」
「え、意外って?」
「こんなに素敵で魅力あるのにぃ」
「あ、いや、まぁ仕事をやり過ぎちゃってね、ま、色々とね…」
「そうなんですかぁ、お仕事の出来る男は魅力的なのにぃ」
と、まるで歯が浮くような言葉を言ってくる。
そしてすっかりと罠に陥ってしまっている私は満更でもない思いを感じてしまっていた…
いや、もう、何を言われても浮かれてしまうようであった。
「あ、そう…今夜は『グランドホテル』でしたわよね?」
「え、あっ、いや?…」
そんな彼女の甘い罠は最後の仕上げとばかりに、そう攻めてきたのだが…
実は私は今夜のホテルがどこなのかも聞いてはいなかったのである。
この接待が終わったら律子に電話をする手筈となっていたからである…
そしてこの彼女の問いかけが、スッと私の惚けた心を目覚めさせてくれる機転となったみたいであった。
この一瞬にして、私の心に律子の、いや、あの愛しく、美しい律子の顔が脳裏いっぱいに浮かんだのである…
「あっ、い、いや、ホテルは松下くんから訊かないと知らないんだ」
「え、そ、そうなんですか?」
おそらくは彼女自身も、この瞬間に、私から律子の名前が出た事に少し慌てたみたいであった…
そしてそれはまた、やはり、内心、彼女は私と律子の関係を怪しんでいるという思いの現れともいえたのだ。
「うん、そうなんだ、電話しないと分からないんだ」
あ、はぁぁ…
脳裏いっぱいに浮かぶ律子の顔が、私の心の冷静さを取り戻してくれてきた。
