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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

 113 秘書 松下律子(23)

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「でも永岡支社長はおそらくは、いや、間違いなくそのおみやげを用意している筈ですよ…
 それに大原新常務も男ですからねぇ」
 と、青山一也はやや卑下した様な表情で言ってきくる。

「え、あ、い、いや、お、大原常務に限ってはそんな事は…」

 そう、彼、大原常務に限ってはそんな事はあり得ない…

「いや、それは、男ですから分かりませんかもね…」

 いや、彼に限ってはそんな事はあり得ない、いや、間違いなく…

 無い、拒否する筈だ…

 わたしが選んだ男は…

 愛している男は…

 そんな安っぽい男では無い…

 無いはず…

 わたしはすっかり、青山一也にそんな心の隙間を突かれて動揺してしまう…
 そしてもう一度、腕時計を確認する。

 時刻はまだ午後8時になったばかりであった…

「多分、今頃は最初の…
 そうだなぁ、昔のいつものパターンでいうと、まずは日本海海鮮料理が有名な料亭で軽くやった後でぇ、二軒目辺りに繰り出している筈ですけどねぇ…」

「あ、は、はい…」
 だがわたしだって、それくらいは想定はしている…
 ただ、さっき彼に云われた
『それは男ですから分からない……』
 と、いう言葉に少しザワザワと心が騒ついていたのである。

 もちろん最愛の彼である大原浩一常務の事は、心から信じてはいるのだが…
 わたしの過去からの男遍歴を顧みても100%ではないという事も知ってはいた。

 それは例えば、浮気からの女性問題による大好きであった父親の離婚であったり…

 大学卒業後に就職した、心の底から惚れて、惚れ抜いた社長である元彼氏が実は既婚者であり、暫くそれを知らずに結果不倫の恋愛であったという過去の事実もあり…

 心底からは男は、いや、オスという生き物は100%は信用できないという事は理解はしている。

 いや、理解しているつもりではあるのだが…

 彼に限っては…

 あの最愛の大原浩一常務に限っては…

 と、いう思いが、いや、信じたい。

 だって世の中にはこんな男の、いや、オスの衝動の事を…

『魔が差す…』
 という一語でよく、いいや、簡単に済ませる事が…

 よくあるから…



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