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シャイニーストッキング

第10章 絡まるストッキング9      美冴とゆかり

 177 ビアンな夜(79)

「んん…」
 眼下に大都会の煌びやかな夜景が拡がっていた。

 その煌びやかな夜景の夜空に浮いているみたい…
 
「あ…ぁぁ……」

 そしてその夜景との一体感に心が震え、痺れ、蕩けて、いや、融けてしまっていた。

「は…うん…ゆ、ゆかりぃ…」
 後ろから抱き締め、プルオーバーのシャツの下から手を差し入れてきて、乳房を包む様に弄り、唇は耳を舐めてくる。

「ん、は、ぁ、あん…」

 夜景の煌びやかさ…
 
 耳タブの弄られる快感…

 揉まれる乳房の心地よさ…

 心もカラダも蕩けて、溶けて、融けてしまいそうになっていた。

 そしてわたしは美冴さんに対して…

 メスとしての…
 女としての…
 受け身的な…
 エム的な想いに覆われ…

 完全に身を任せていく…

 そして同性同士の抱擁と愛撫なのだが、わたしは完全に美冴さんに対してメスの、女としての想いを持ち…
 その快感に、心は嬉々として享受してしまう。

 また脳裏には、さっきの映画の中での最も印象的な場面であった…
 父親の亡くなった夜に彼に無理矢理呼ばれ、抱かれて狂うシーンが蘇り、浮かび上がってきていた。

 そしてそのシーンこそが…
 女優が美冴さんにダブり、男優が彼に重なって見えてしまい、激しくジレンマの想いに陥ってしまった場面なのだ。
 
 だが、今、こうして美冴さんに抱かれているわたしの想いはなぜか…
 美冴さんに対してメスであり、女であり…
 わたしからは美冴さんはオスであり、男であり…

 そして…

 最愛の、愛しい男である彼、大原浩一的な存在になっていたのである。

 それは…

 美冴さんに対しての、完全なる愛を認めた想いという現れであり…

 以前からコンプレックス的に抱き、感じていた『憧憬』と『嫉妬心』という、相反するジレンマ的な想いを乗り越えられたという事…

 いや、違う…

 完全に抗えないと屈伏した想いの証明なのかもしれない…
 

 だから…

 美冴さんと彼との愛し合っているシーンにダブってしまい、ジレンマに陥っていた映画の濡れ場のシーンがこうして浮かび上がり、そして、今度は逆に、美冴さんが彼にダブり、わたしをこうして激しく愛してくれる…

 そしてその快感を嬉々として、今、享受できているのかもしれない。




 

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