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シャイニーストッキング

第10章 絡まるストッキング9      美冴とゆかり

 176 ビアンな夜(78)

 ピー、ガチャ…

 ドアロックが外れた瞬間に美冴さんはバンっとドアを開き、そしてわたしをその勢いのままに部屋へと押し入れ…
 キスを、唇を、求めてきた。

「は…ぁ…ゆ、ゆ…かり…」

「んん…み……さ…ん……」
 
 わたしはそのまま壁に押さえ付けられて、激しく唇を、舌を貪られるかの様にキスをされていく…
 そのキスはまるで部屋のドアロックが外れた瞬間と同時に、美冴さんの心の抑えも外れてしまったかの様な激しさであった。

『ああ、ダメ、我慢できないわ…』
 さっき美冴さんは呟いていた。
 そして…
『ゆかりを…食べたい…
 あぁ、食べたい…舐めたい…』
 とも、囁いていた。

 そんな想いを言葉に出してしまうぐらいの激しい欲情が、その衝動が…
 このホテルの部屋を取り、こうしてわたしを激しく抱いている事に通じてるのだろう。

 食事の後に…
 このバーを出て…
 この後、わたしのマンションへ…
 という、暗黙の前提の想いがあった筈なのに…
 とても、それまで我慢できない程に、その激しい想いが、この衝動の現れなのだろう…
 と、昂ぶる心の隅でそう思っていた。


 そして、舌先を吸われ、唾液を吸われ、そして、カラダの力ごと、そんな心までも吸い取らていく様な感覚に陥ってしまう。

 あぁぁ…

 全身の力が、甘い痺れと共に抜け落ちてしまい、膝がガクガクと震えてきた。

「ゆ、ゆ…かり…」
 そんなわたしをきつく壁に押し付けて、激しいキスを、唇を貪ってくる。

 手からは買い物をした荷物が落ち、バッグも落ち、美冴さんの為すがままになってしまう。

 あぁぁ…
 心が震える…

 そしてすっかり脱力しているわたしを抱き抱えるかの様にキスをしながら、壁伝いに押し付けてきて…
 東南角の両面のコーナーが、等身大以上のガラスになっている窓へと導いてきたのだ。
 
 そして唇を離し、その窓にわたしのカラダ全体を押し付け、今度は後ろから抱き締めてくる…

「んん…」
 目を開くと、眼下に大都会の煌びやかな夜景が拡がっていた。

 窓ガラスが足元まであり、そのコーナー窓の外は何も無いから、わたしはその煌びやかな夜景の夜空に浮いているのではないのか…
 と、いう錯覚に一瞬陥ってしまう。
 
「あ…ぁぁ…」

 まるで夜空に浮かんでいるみたい…




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