無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

　22　面接終了

「すいませんでした、なんかつい、余計な事まで話してしまって…」
　と、伊藤敦子さんはすっかり冷静な目に戻って、わたしなはそう言ってきた。

「あ、いや、いいえ、伊藤さんの保険に対する熱い想いと気概が強く伝わってきて良かったですよ」
　そうわたしは返し、そして…

「実はね…
　今日の午後にこの越前屋さんからお話しを聞いた時点で決めてはいたのよ…
　ただ、そんな伊藤さんの熱い想いが知りたくて…ね」
　と、言ったのだ。

「えっ、あ、それじゃあ…」
　伊藤さんは弾んだ声をしてくる。

「うん、はい…
　もちろん採用しますよ、決定です。」
　わたしはにこやかな笑顔でそう言う。

「あ、はい、ありがとうございます」
　昂ぶる声音でそう返してきたのである。

「きゃあ、あっちん、良かったねぇ」
　越前屋さんも嬉しそうに小さく叫んできた。

「うん、あ、佐々木室長、これからよろしくお願いします」
　そう伊藤さんは言い、そして深々と頭を下げてくる。

「これからは男性優位なんて心配は全く無いから、あ、いや、むしろ、現状では女性の方が人数も多いし、優位かもね…」
　
「そ、そうなんですか…」
　伊藤さんは目をキラキラと輝やかせながら言ってきた。

「うん、そうかもぉ」
　越前屋さんも嬉しそうである。

「じゃあとりあえず、これで面接は終了ね」
　わたしはそう言いながらメニュー表を手元に引き寄せて言う。

「じゃあ軽く飲んじゃおうかぁ」

「はぁい…」
　すると越前屋さんが明るくそう言ってくる。

　本当にこの越前屋さんは明るくて可愛い…

　彼女の笑顔と、存在感は本当にわたしの心を和ませてくれる。

　そしてまた新たに一人、優秀な逸材を確保できた。

　成功の予感しかしないのである…