
シャイニーストッキング
第9章 絡まるストッキング8 部長佐々木ゆかり
21 激白…⑤
「え、人事部部長って、確か…」
わたしは呟いた。
そう、その人事部部長は常務派だ…
と、確か元人事部の上野涼子に訊いていたのだ。
彼女もまた、この社風の犠牲になったといえる一人であり、この越前屋さんが引き抜いてきた逸材でもある。
「はい…、そうなんです、人事部部長は真中常務派なんですが、それを隠して、尚且つ違う目的でわたしに近付いてきたんです…」
…まさか、そんな事など全く知らず、そんな人事部部長の『相談に乗る』という甘い言葉に藁をも掴む思いで誘いに乗り、食事に行ったんです。
すると…
『今夜、付き合ってくれたら悪い様にはしないから…』
ってまさかの言葉を言ってきたんですよ。
さすがのわたしもこれには呆れました、いや、辟易しちゃいました。
そして…
『この保険会社はここまで腐っていたのか…』
と、怒りが湧いてきたんです。
そして即お断りしたら…
『飛ばしてやる…』
ですよ、今どきマンガでもあり得ないセリフに思わず笑ってしまいました。
そして必死に引き止めてくれている越前屋には悪いけれど、わたしの中で完全に我慢するという思いがプツンと切れてしまって、退職を決意したんです…
「ふうぅ…」
伊藤さんはここまで話すと、そうため息を吐いた。
しかし自身の熱い想いの丈を激白したせいなのか、さっきまでの高揚気味な顔つきは初対面の時の様な、クールで理知的な美人の顔に戻っていたのである。
そしてわたしの傍らにいて、この伊藤さんの話しに同調したかの様にやはり高揚気味な顔つきになっていた越前屋さんも、落ち着いた顔に戻っていたのだ。
それにしても…
わたしは、あまりにも酷い、そして今どきあり得ない位なお話しに、怒りとイライラを高めてしまっていた。
本当に酷い話しだ…
こうして今、キャリアアップを目指しているわたしは、自分の会社がこんな会社じゃなくて本当に良かった…
と、心から思っていたのである。
そしてまた、上司が彼で、そう、大原本部長で本当に良かった…
とも、しみじみと思ってもいたのであった。
「え、人事部部長って、確か…」
わたしは呟いた。
そう、その人事部部長は常務派だ…
と、確か元人事部の上野涼子に訊いていたのだ。
彼女もまた、この社風の犠牲になったといえる一人であり、この越前屋さんが引き抜いてきた逸材でもある。
「はい…、そうなんです、人事部部長は真中常務派なんですが、それを隠して、尚且つ違う目的でわたしに近付いてきたんです…」
…まさか、そんな事など全く知らず、そんな人事部部長の『相談に乗る』という甘い言葉に藁をも掴む思いで誘いに乗り、食事に行ったんです。
すると…
『今夜、付き合ってくれたら悪い様にはしないから…』
ってまさかの言葉を言ってきたんですよ。
さすがのわたしもこれには呆れました、いや、辟易しちゃいました。
そして…
『この保険会社はここまで腐っていたのか…』
と、怒りが湧いてきたんです。
そして即お断りしたら…
『飛ばしてやる…』
ですよ、今どきマンガでもあり得ないセリフに思わず笑ってしまいました。
そして必死に引き止めてくれている越前屋には悪いけれど、わたしの中で完全に我慢するという思いがプツンと切れてしまって、退職を決意したんです…
「ふうぅ…」
伊藤さんはここまで話すと、そうため息を吐いた。
しかし自身の熱い想いの丈を激白したせいなのか、さっきまでの高揚気味な顔つきは初対面の時の様な、クールで理知的な美人の顔に戻っていたのである。
そしてわたしの傍らにいて、この伊藤さんの話しに同調したかの様にやはり高揚気味な顔つきになっていた越前屋さんも、落ち着いた顔に戻っていたのだ。
それにしても…
わたしは、あまりにも酷い、そして今どきあり得ない位なお話しに、怒りとイライラを高めてしまっていた。
本当に酷い話しだ…
こうして今、キャリアアップを目指しているわたしは、自分の会社がこんな会社じゃなくて本当に良かった…
と、心から思っていたのである。
そしてまた、上司が彼で、そう、大原本部長で本当に良かった…
とも、しみじみと思ってもいたのであった。
