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アシスタントで来ただけなのに…!

第1章 鬼才漫画家、市川ルイ

興奮が抑えられない気持ちの中、ハッと我に返った。
呑気にそんなことを考えてる場合では無い。
早く先生にお会いするために準備しなくては。

「えっと、スーツ、鞄、あとパンプスも用意しなくちゃ」

履歴書と思ったが、そういえば送り返させれない。
それもそうか、私は合格と正式に確定されたのだから。

「鞄の中身は、メモ帳とペンとハンカチ、後は靴擦れした場合の絆創膏も持っとこう、それから必要な物は…」

指を一本ずつ曲げて準備するものを揃えられるように思索する。

「よし、準備するか」

私は速歩で部屋に戻り、具体的に思いついた物を揃える。
床に並べて首を捻られながら一つ一つを確認する。
 
もっとシンプルなメモ帳がいいな、ハンカチもこんなに明るいのは良くないかも。
スーツは長らく着てないから少し埃っぽい。
鞄は本格的な面接をしてなかったからちゃんとしたのを買おう。シャツは当日にアイロンしよう。
パンプスは確か母のお下がりを使っていたし問題ない。

私は当日の面接に緊張しながらも、ワクワクしていた。
待ち遠しい。早く会いたい。憧れの市川ルイに。

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