
イジワルな彼女。
第10章 翼-ツバサ-
手と顔をさっと洗い終えると、
ポケットのスマホが震える。
[今日いつもより早く帰れたんだけど、
夜ご飯は何がいい?]
母親からのメッセージだ。
僕はリビングに戻り、亮太に問いかける。
「メシ喰ってく?」
「ん?なになに?」
「母親もうすぐ帰ってくるらしく、
メシ何がいいかって」
「え!悠ん家のメシ喰わせてもらえんの?」
亮太は興奮気味にソファから立ち上がり、
僕の方に体を向けた。
「うん。多分…
何か喰いたいもんある?」
「何でも!!
悠の弁当、全部うめーし!」
母親の手作り弁当を、僕は亮太から
かなりの頻度でつまみ食いされている。
「わかった。
とりあえず伝えてみるわ」
母親にその旨を返信すると、
[そうなの?
豪華なものは出来ないけど、了解^^]
そんなメッセージと一緒に、
やたらと嬉しそうなスタンプが送られてきた。
「どうだった?」
「大丈夫。メシまでまだ時間あるし、
ゲームでもする?」
「よっしゃ!やるやるー!」
亮太は本当に嬉しそうで、
その顔を見ている僕も嬉しかった。
