
イジワルな彼女。
第10章 翼-ツバサ-
「悠の母さん、美人そうだよな!
あれか?美魔女ってやつ!」
「全然。普通だけど」
「いや、お前は見慣れてるだけだ!
俺の勘なめんなよ?」
「別になめてねーし。
お前ん家はどうなんだよ」
「愚問だな!」
「見た目は想像つかないけど…
亮太に似て、明るい人っぽいイメージ」
「そ!つか、ガミガミうるせーんだよ」
「それはお前のせいもあるんじゃねーの?」
「は!?
って、あ"ぁぁあー!この卑怯者っ!」
「お前から話振ってきたんだろ?」
「くっそ!次、やるぞ!」
僕たちは対戦ゲームをしながら、
母親の帰宅を待っている。
「ちょっと休憩!」
「勝ち逃げか?コノヤロー!」
「違うって!洗濯物取り込むだけ」
「なーんだ」
僕はリビングからベランダに出て、
ささっと洗濯物をかき集めた。
「さっきの炭酸…大丈夫だったか?」
亮太が不安そうな声で話かけてきた。
「大丈夫!…たぶん。床も乾いてるし、
目立った汚れはないよ」
「そっか」
「お前が気にすることないだろ?」
僕は亮太に笑いかける。
そして、またゲームを再開した。
