
イジワルな彼女。
第2章 歩-アユム-
バイト終わりの亮太と合流すると、
さっきついた僕の嘘を真に受けた亮太が
「わりぃな!今日は俺が出すからさ」
そう言って、ご飯を
奢ってくれる流れになってしまった。
さすがに僕の良心は痛み、
いつもよりトッピングの少ない麺を
夏バテだと誤魔化しながらすすった。
あっという間に大盛りのラーメンを
完食した亮太が、
隣でスマホを弄りだす。
「でもさ、お前もたまには
予備校サボって遊ぼうぜ?
せっかくの夏なんだしさぁ」
「…そうだよなぁ」
「そうだよ!
ったく、こないだだって
せっかく海誘ったのに来ねーし」
「ごめん。ちょっと気分じゃなかった」
「最近ノリわりぃなぁ!
お前そんなんでいいのかよ?
彼女くらいつくれよっ」
「あぁ…」
「ほら、これ」
そう言って亮太は、
さっきから弄りっぱなしの
スマホの画面を僕に見せてきた。
