
イジワルな彼女。
第9章 縁-エニシ-
学校に着くと、僕はトイレに向かった。
鏡を見て最終確認をする。
判定は…△
僕はリュックから眼鏡を取り出して、
コンタクトを外し眼鏡をかけた。
教室に入ると亮太が駆け寄ってきた。
「おっす!悠くん、今日はメガネ?」
「あぁ」
「珍しいね〜どうしたの?」
「目の調子悪くて、
コンタクトが入らなかっただけ」
「ふ〜ん」
「…なんだよ」
今日も亮太は不服そうな顔を僕に見せる。
「いきなり髪切ったかと思えば、
今度はメガネかけちゃったりして。
色気づいてんな〜と思って!」
「…」
「やっぱり、そうなんだよな?」
「何がやっぱり?」
「だーかーら、こま」
「バカ!ちげーよ!」
僕は亮太の口を塞いで、
そのまま亮太を教室から連れ出した。
「あのさ、ほんとに違うから!」
「悠!俺には分かるんだぞ?
そろそろ観念しろって」
「何が分かるんだよ…」
僕は呆れ顔でぼそっと呟く。
「俺の勘、なめんなよ?」
そう言って亮太は僕の肩を組むと、
耳元でこそっと
「少しは頼れよ!な?」
それまでのおちゃらけた雰囲気から一変し、
真面目な声で囁いて教室へと戻っていく。
「…はぁ」
溜め息をついてから、僕も教室へ戻った。
不本意だが、これ以上は隠せない。
僕は亮太に、唯さんのことを
打ち明ける決意を固めた。
