
イジワルな彼女。
第9章 縁-エニシ-
翌朝の目覚めは最悪で、
僕はしばらくベッドでうなだれていた。
♪pipipi…
スマホのアラームを止め、
重い頭と身体を起こして部屋を出る。
洗面台の前に立つと、
そこにはまた酷い顔が映っていた。
「…やべぇな」
素早く顔を洗い、頬を何度か叩いてから
僕はもう一度鏡を見た。
「こんな顔じゃ、亮太に何言われるか」
亮太は勘が働く。
昨日はなんとか誤魔化せたが、
この顔を見られたら今日こそは
僕から話を聞き出さないと
亮太の気は治まらないだろう。
それどころか、これから毎日毎日
問いつめてくるかもしれない。
僕は洗面所にある母親の化粧品の中から
オールインワンジェル?とやらを
少し拝借し、顔に塗り込んだ。
ベタつきが気になったが
そこは我慢して、自分の部屋に戻り
予備の眼鏡をリュックに入れた。
