
イジワルな彼女。
第8章 絆-キズナ-
「…てか、マジではっず!
悠!今の記憶、全部消しといてくれ!!」
少しして原の涙が止まりかけてくると
亮太は僕に懇願した。原も俯いたまま、
僕と目を合わせにくそうにしている。
「俺、記憶力いい方だからなぁ」
「悠ー!!」
「大丈夫だよ。
それじゃあ、もう原を泣かせるなよ?」
「…わかってる」
「私ちょっと…お手洗い、行くね」
いたたまれなくなっただろう原が、
部屋から出ていった。
「ありがとな、悠」
「別に。俺は何もしてないから」
「…宿題」
「そっちかよ!」
「お礼に、悠の悩みも聞かせろ」
「は?意味わかんね」
「誰にも言わないって約束するからさ?
指切りっ♪げんまんっ♪」
「そのキャラやめろ」
「遠慮とか、いいからいいから!」
「だから、何もないから!」
「もう!悠くんてば頑固なんだから!」
「…きも」
僕は少し炭酸の抜けてしまった、
コーラを飲む。
「…悠、好きなやつ出来ただろ?」
僕は慌ててストローから口を離した。
「なぁ、さっきから何なの?」
「だーかーらー!相手は誰なんだよ!?」
「いないよ」
「俺の知ってるやつ?」
「…何でいる前提?」
「だって、いるじゃねーか!」
「どこに?」
「俺がそれを聞いてんだよ!」
「はぁ…逆ギレかよ」
亮太はしつこく詰め寄ってきたが、
僕はスマホを弄ってスルーし続けた。
ガチャ
ドアが開き、原が帰ってきた。
「戻りました…小日向ありがとう」
「いえいえ」
「なぁ、佐々木はありえないよな?」
「???いきなり何の話?」
「悠の好きなタイプじゃないもんな」
「佐々木さんが?」
「うちのクラスだと…
やっぱ小松か田中の2択だよな?」
「???」
「…ほら、原困ってるぞ」
「なぁ、杉崎って今は彼氏いんの?」
「え?どうかなぁ…」
「亮太!…春菜、関係ないから」
「じゃ、やっぱ小松か?」
「…やっぱって何だよ」
その後もしばらく亮太との攻防は続いた。
