
イジワルな彼女。
第8章 絆-キズナ-
亮太がサッカーを辞めたのは、
膝の古傷が悪化したためだった。
翌日。
僕が教室に入ると、クラスの空気が
いつもと違いざわついていた。
でもその後登校してきた亮太は
いつも通りで…かといって
周りに変な気を遣わせることもなく、
すぐにクラスの輪の中心にいた。
そんな亮太だから
僕は亮太のことを尊敬しているし、
清水や松浦はともかく…
神田はクールで毒舌なインテリだけど
何だかんだ亮太に心を許している。
僕たち5人は、亮太がいなかったら
今のような仲にはならなかっただろう。
「悠、ほんとありがとな」
亮太がいきなり、そう呟いた。
「どうした?急にかしこまったりして」
僕は笑って話を逸らそうとしたが、
「悠もあんだろ?悩み」
「…悩み?あー、最近体力落ちたわ」
「とぼけんなって」
「何が?毎日暑いからさ、
なかなか疲れがとれないんだよ」
「…」
亮太は不満げな顔をしている。
「それより…いいのか?俺も一緒で」
「ああ。むしろ、あいつも悠が
いてくれた方が話しやすいってさ」
「そっか」
電車を降りて、僕らは原と
駅前のカラオケBOXの前で合流した。
