
イジワルな彼女。
第7章 茜-アカネ-
久々のYシャツに、チェックのパンツ。
クローゼットを開けて、
僕は制服に手を伸ばしていく
今日は始業式。
僕の学校では式典の日は、赤いネクタイの
着用を義務付けられている。
一昨日は買い物と映画を観たら満足して
そのまま帰宅し、夏休み最終日は
カフェ巡りも出来ず終い…。仕方なく、
ひたすら家でゲームをして過ごした。
僕はネクタイを緩めに巻き、部屋を出る。
するとエプロン姿の母親と目が合った。
「おはよう。ご飯出来てるからね」
「おはよう。うん」
今日は母親が休みをとっていたようで、
僕はダイニングテーブルのイスに座った。
父親はすでに家を出たあとで、
テーブル上に残された新聞を横目に
僕は朝食を済ませる。
父親とはろくに顔も合わせていないが、
むしろ干渉されずに済むので
僕にとっては好都合だ。
しかし、母親からは
何か聞きたそうな気配を感じる。
だが僕は、気づかないふりをして
「ごちそうさま」
そう言って、席を立った。
