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イジワルな彼女。

第7章 茜-アカネ-


奇しくも映画館は、
例の駅近くの商業施設に入っている。

電車の中は空いていたが、
僕は立ったまま窓の外を眺めていた。


ホームに降り立つと、
唯さんらしき女性が立っていた
場所に目を向ける。
僕は地元の駅でいつもとは違う
ホームドアから乗車し、
目的地であるこの駅のホームの端で
下車出来るようにしていた。


唯さんは、ここからどこへ
向かうところだったのだろうか?

考えても答えはでない。それでも僕は
“唯さんと同じ電車に乗っている”
かもしれないのなら、いずれまた
唯さんと逢える日が来るかもしれない…
そう願う外なかった。


改札を出て、僕は映画館へと急いだ。


映画は普通に面白かったし
いい気分転換にもなったが…
やはり特殊な力で過去に戻れたり、
ハッピーエンドで幕を閉じる主人公には
僕は途中から感情移入出来なかった。


(僕の人生にも、そろそろドラマが
起きてもいい頃じゃないか?)
そんなことを思いながら、次の映画まで
時間潰しも兼ねて買い物をする事にした。

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