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イジワルな彼女。

第7章 茜-アカネ-


翌朝。
僕はまずシャワーを済ませると、
トーストと目玉焼きを焼いて食べた。

普段あまり朝食を食べない派の
僕にしては珍しい光景だが、
ここ数日は夕食抜きの状態が
続いていたこともあり
さすがにお腹がすいていた。

食べ終えた食器を片付け、歯を磨く。
そして、鏡を見ながら久しぶりに
ワックスを使って髪をセットした。

夏休みに入って数週間は、予備校へ
行くのにヘアセットは欠かさなかった。
だが、しばらくすると
キャップを被って誤魔化すようになり
最終的には寝癖がなければそのまま…
というような始末だった。


「唯さんと逢った日の俺…絶対ダサかったな」

後悔しても仕方ないが、
僕は改めてあの日に戻りたい。

「そういや、今日観ようとしてる映画も
タイムトラベルものか…」

僕は苦笑いで洗面所をあとにした。

それから自分の部屋に戻り、
いつものでかくて重いリュックから
財布を取り出し違うバッグに入れる。

いつもと違うスタイルで、僕は家を出た。

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