
イジワルな彼女。
第7章 茜-アカネ-
「…もしもし?」
緊張気味に、僕から話し掛けた。
「もしもし」
亮太から返事はあったものの
その後、全く会話はない。
「…」
「…」
「………亮太?」
沈黙を破り、僕が再び問いかけると
電話の向こうから
「痛っ!」
亮太の声がした。
「!?」
そのまま黙って耳を澄ましていると、
「あー!分かってるって!!」
少し大きめの亮太の声が聞こえる。
近くで誰かと話しているようだ。
そして、
「悠!ごめん!」
やっと亮太から僕に対して
話し掛けてきた。
「…」
「悠?聞いてる?おーい!?」
僕はその亮太のいつも通りの声を聞くと、
そっと胸をなでおろした。
