
イジワルな彼女。
第5章 巡-メグル-
佐々木と別れ、少し歩いたところで
「だっせぇ…」
そう心の中で呟いた僕は
一瞬、その場で足を止めていた。
しかし、すぐに一歩踏み出すと
脇目もふらず一目散に自宅へと急いだ。
マンションのエントランスを抜け、
一人エレベーターに乗り込む。
鏡にうつった顔をちらっと見たが、
僕の顔に覇気はなく…
おまけに死んだ魚の目をしていた。
「まじかよ…」
僕は俯いて、
エレベーターのボタンを押した。
幸いエレベーターは、
自宅フロアまで止まることなく
僕を運んでくれた。
