
イジワルな彼女。
第2章 歩-アユム-
予備校に通い始めてから
そろそろ3ヶ月が経とうとしている。
何ヵ所か下見して、
今の予備校に決めた理由は
ぶっちゃけ定期の範囲内だったから。
一応行きたい大学はあるし
模試の判定も合格圏内だから、
僕にとってのこの夏は割と消化試合だ。
でも親がお金を出してくれて
予備校に通っているのだから、
せめてその期待には応える義務がある。
この夏だけの我慢だ。
そう自分に言い聞かせながら、
いつもの電車に乗り込む。
大きなトランクやキャリーケースを
せっせと転がしながら乗り込んでくる
家族やカップルたちを横目に、
僕はポケットからスマホを取りだし
イヤホンを素早くほどいて耳にはめた。
