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イジワルな彼女。

第4章 薫-カオル-


「…」

僕は恐る恐る
視線を彼女の顔に移していった。

そして彼女と目が合うと、

「ただいま、お水をお持ちしますね」

何食わぬ顔で僕にそう告げ
軽くお辞儀をし、くるりと踵を返した。


テーブルに残された
残り僅かのアイスコーヒーのグラスを
僕はさっと掴み、ストローは使わず
そのまま一気に飲み干した。

おまけに氷も一つ口に含んで、
それをガリガリと噛み砕く。

この氷と一緒に、
緊張と期待でいっぱいいっぱいの僕の心も
なるべく早く溶かしたかった。

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