テキストサイズ

イジワルな彼女。

第4章 薫-カオル-


「失礼します。
お済みのお皿、お下げしても
よろしいでしょうか?」

僕がそっと顔を上げると、
彼女と目が合った。

微笑みながら僕からの返事を待っている。

「あ、はい」

少し声が上擦ったが、
彼女は気にも留めない様子で
サンドウィッチの皿に手を伸ばす。


「…」

喉まで出かかっている言葉をいつ発するか、
僕はタイミングをはかっていた。

彼女は手際よくテーブル上を片付けると、

「ごゆっくりどうぞ」

そう言って立ち去ろうとした。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ