
イジワルな彼女。
第3章 雫-シズク-
見た目は綺麗すぎて、近寄りがたい…
そんな雰囲気の彼女だったが
話をする内にそんなイメージは
すぐに吹き飛び、僕は
彼女…唯(ゆい)さんに惹かれていた。
シャワーを浴びながら、
唯さんが話してくれたことや
僕の予備校や学校の他愛ない話を
順番に振り返った。
思い返すだけで、また顔が緩んでくる。
両手で軽く顔をパンパンッと叩くと、
僕は最大のミスを犯したことに
やっと気付いた。
「連絡先…!」
僕の恋愛偏差値の低さから
唯さんの連絡先はおろか、名字も年齢も…
いや、年齢は女性相手に失礼だと思って
聞こうと思わなかったけど。
でも、あまりにもひどすぎる。
模試だったら判定は見なくても分かる。
「終わった…」
僕のひと夏の恋は、
始まることなく幕をとじた。
