
イジワルな彼女。
第3章 雫-シズク-
「悠くんね!悠くんがね、よかったの」
「…」
彼女の答えに僕は、
しっくり来なかったが少し嬉しかった。
少し?いや、かなり嬉しかった。
そんな気持ちが漏れていたのか、
「よかった!やっと笑ってくれて」
そう言って、彼女も満面の笑みで
コーヒーカップに手を伸ばした。
(うわ…にやけちゃったのか!?)
でも、こんな美人を前にしたら
男なら皆デレデレしちゃうんじゃないか?
「これは、不可抗力だ!」
そう自分に言い聞かせながら
彼女とはカフェで20分ほど会話をし
駅まで並んで歩き、そこで別れた。
手ぶらで帰宅してしまった僕は
母親に呆れられたが、
雨のせいにして話を切り上げて
さっさと自分の部屋に入った。
