
僕のまーくん。
第13章 スマホ事件
N side
駅を降りた僕ら5人。
そこは、もうさっきの街の喧騒はない。
澄んだ、キレイな空気が美味しい。
夏特有の、入道雲が広がってる光景。
一本道を歩いて行くと、海に繋がっているはず。
……僕は、まーくんが気になっていた。
だってさ、電車を降りてから僕の方は一度も見てくれない。
……やっぱ、やり過ぎちゃった……かな。
前を歩くまーくんの後ろ姿を見つめる。
潤くんと歩く僕。
「海、楽しみだなっ?」
僕の沈んだ顔と、うって変わって、
ニコニコとイケメンスマイルを振り撒く潤くん。
「うん、楽しみだね」
感情のこもってない棒読みで返した。
「にの、どうしたの?」
潤くんが覗きこむ。
ちょっと泣きそうになるのをグッと堪えた。
「なんでもないよ」
笑ってみせようとするけど、ひきつる笑顔が自分でも分かった。
「笑え~~!」
そんな僕に潤くんに、歩きながら擽られて堪らず
「バカ!潤くん止めて!アハハっ」
キャッキャ騒ぐ
振り返った、まーくんと目が合った。
まーくんはまた、なんか言いたそうな顔してそのまま何にも言わず、前を向いた。
ちょっと、前を歩いてた大ちゃん先輩が
「賑やかだな」
って、のんびり呟いて歩いてた。
まーくん、なんか言ってよ……
構われない淋しさに、また胸の中が、暑すぎる外の気温とは正反対に冷たくなってく。
自分から、仕掛けた事だったんだけど。
まーくんの態度に
ヤキモチ妬かせようなんて
思わなきゃ良かったって
後悔しながら海まで続く道を歩いた。
街の中では聞こえない、蝉の声がうるさいくらいに
響いてる……
前を歩くまーくんの後ろ姿に目をやりながら
切なくなってくる気持ちを、何とか隠すように
僕は、
わざと大きな声でまーくんに聞こえるように、
「潤くん!海に着いたら一緒にいっぱいあそぼっ🎵」
って言ってみた。
……天の邪鬼な自分を、恨んだ
本当は、一番にまーくんと一緒にいたいし、思い出作りたいのに……
って。
そう、素直に言えない自分にモヤモヤして……
あと、もうちょっとでたどり着く海を目指して、スタスタ歩きながらそのまま潤くんと二人、まーくん達を追い越して前を歩いた。
