
僕のまーくん。
第13章 スマホ事件
A side
さっきは、何だか、拗ねたようにかずくんは、松本くんの方に行ってしまった。
誤解させちゃったね?
僕は、翔ちゃんが、何だか松本くんを警戒していてピリピリしてるように見えたから、敢えて、
翔ちゃんと松本くんを、離した方がいいかもなぁ
って思って、言ったんだけどな……
「ね、かずくん……松本くんと座れば?」
ってさ。
まあ、いっか。
あとから謝ろう。
って思ってたんだけどさ……
今目の前の、光景から目が離せない
いや、離したいのに……
かずくんは、松本くんに寄りかかって、
しかも、手まで無意識に握っちゃってるし。
おい、おい!そこは、僕の特等席なんだよ!
松本くんに視線を向けると、バチッと目が合った。
なんか笑ってるし……
僕も、向こう側にいるふたりを眺めながら黙っていた。
ふと横を見ると、翔ちゃんもイライラしてるように爪をパチンパチンって弾いてる。
僕達、今同んなじ気持ちで見てる?
翔ちゃんは、僕らの関係を知らないから
隣にいる僕も、イライラしてるなんて
全く気付いてないだろう……
……あっ!
かずくんが起きた。
僕は、かずくんと目が合ったけど……
なんか、微妙な空気が流れる。
まだイライラしてる僕は、自分がどんな顔して
かずくんを見てたかなんて、分からなかった。
えっ?!
……ちょっと待って?
何やってんの?かずくん……
松本くんから、かずくんの手を触ったかと思えば
今度は、かずくんの方が松本くんの手をニギニギしてる。
なんだよ!それ……
友達だからって、そんなイチャコラするか?
しかも、僕の目の前でさ。
わざとやってんの?
なんか、言いたいけど発言出来ない自分にもだんだんイライラしてきた。
次の光景を見た時、胸がざわざわと鳴りムカムカまでしてきて……
かずくんのホッペを至近距離で、プニプニと触る松本くんの手を睨み付けていた。
マジで止めて!
僕の可愛いかずくんのホッペに触らないで……
ムカムカする……
イライラ具合がピークになった頃、揺れる膝も一層
大きく揺れた。
……かずくん。何なんだよ……もう
横にいた、翔ちゃんも堪らず、大きな咳払いをしていた。
もう早く、降りたかった。
