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これを恋とは呼べない♥

第1章 ファーストキスもセカンドキスも。

俺が和也を兄ちゃんと呼ばないことに、決まった理由はない。


「…恥ずかしいんだよなー…。」

多分、理由と言うなら恥ずかしいから。

和也には、兄ちゃんとは違うオーラが漂っていて、とてもじゃないけど「兄ちゃん」とは呼び難い。



ガラッ


「は?え、ちょ、なに。兄ちゃんは?」


湯船に浸かる俺を見ながら、普通に入ってきたのは和也。

「部屋までなんとか引きずった。それよりはる、純兄になにされた?」


思わず固まる。忘れようって思ったばっかでこの質問。

そんな俺を気にもせずに、狭い浴槽に無理矢理入ってくる。

ザブーン、と大量のお湯が出ていってしまった。



やっぱり、実の兄に本気ちゅーされました、なんて言い難いもので。

いや、、まず本気ちゅーなのかも分からないのだが。
陽咲にでも相談しようと思っていたことを、1番相談したくない人にするのは気が引ける。


「なんで?兄ちゃんなんか言ってたの?」

できるだけ平然を装って聞いてみるも、なにかを悟られたようで。


「いやぁ?純兄がさ、『千春とちゅーしたぁ』って楽しげに言うもんだからね?俺妬いちゃうなぁー」


なんとも楽しそうな顔。
なんか腹立つ。


「ふーん。酔っ払ってるし、誰かと間違えてんでしょー。俺全然気にしてないし」



「そーんなこと言って。何気にファーストキスでしょ。俺知ってんだよねー」

いらっ。

「可愛い可愛い弟のファーストキス、俺が欲しかったなぁ、なーんてね。」

いらいらっ。

「どーだった?女の子じゃない、ファーストキスのお味は。」

こいつ…

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