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これを恋とは呼べない♥

第1章 ファーストキスもセカンドキスも。

「ちょっと!マジで飲み過ぎ!!痛いんだけっ…」


ちゅ…


唇に柔らかい感触。酒くさい。

兄ちゃんにキスされていると気付くのに、時間はかからなかった。


「は?!ちょ、なにしてんの?バカなの?!俺、男!弟!」

「分かってるよ。俺の可愛い弟だよ。」


…全然分かってないよね

いや待て焦るな俺。相手は酔っ払い。こんなの誰かと間違われてるだけ。


「あのさ、兄弟だからって、キスしてもいいってことないからね?むしろ、俺男だし余計にダメ。」


軽く、酔っ払いの兄ちゃんに説教するも、ポカンとしている。


「俺はなぁ、兄弟だからキスした訳じゃないぞぉー。千春が好きなの、会社の美人よりも好き。」


なにその基準!!
酔っ払いすぎだろこのクソ兄ちゃん!!

「はいはい、分かったから帰ろ。めんどくさいよ、今日の兄ちゃん。」


訳の分からないことばかりを口走る兄ちゃんに肩を貸しながら、ゆっくりとお店を出る。


少し冷えた夜の空気が酔いを少し覚ましたのか、だんだんといつもの兄ちゃんに戻る。

あえて言わないのか、忘れてるのかは定かではないが、さっきのキスの話には触れなかった。




どうせ元カノか誰かと間違えてるんだろうし、俺も忘れた方が良さそうだな。






…そういや、会社の美人より好きってつまりどういうことなの?




俺の小さな疑問は、「トイレ行きてぇ」という兄ちゃんの一言でかき消された。

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