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これを恋とは呼べない♥

第1章 ファーストキスもセカンドキスも。

俺には、頼りになる兄がいる。
愚痴だって、相談だって、特に面白くもない話だって
嫌な顔一つせずに聞いてくれる兄がいる。


「ふは、お前可愛いなぁー。千春が1番可愛い。あー…こんなこと言ってっから彼女もできないんだなぁー。」


誰だこれは。…顔だけ兄ちゃんで、中身は別人なんじゃないかと疑うくらいの変わりよう。

そんなに飲んでたっけ?
相当疲れてたんだな。ストレス溜めすぎだよ。

「兄ちゃん、あんまり飲むと歩けなくなるよ。」


まだ飲もうとする兄ちゃんに注意すると、コトっとジョッキを置き、じっとこちらを見た。


たまたま歩ける距離にある店だったのが救いだ。
あと、個室の部屋。

個室じゃなかったら周りにどんな風に思われてたことか…。

「どうしたの。もう帰る?さすがに飲み過ぎ」

俺が聞いても答えない。
実を言うと、戸惑いを隠せないでいる。
こんな兄ちゃん見たことないし、どう接していいやら…。


向かいの席に座っていた兄ちゃんが、黙って俺の隣まで移動してくる。


「千春はさ、彼女とかいんの?」

「いや、いないけど…。俺チビだし、彼女とか似合わないじゃん?」

ふーん、と聞いたくせに興味無さげに答える兄ちゃんに、浅い溜息をついた。


「いやー、可愛いよ、お前。ちゅーしたくなるんだよねぇー」

「ホントに飲み過ぎ。男相手に…弟相手になに言ってんの。」


ほら、帰ろ。そう言って腕を引っ張ると逆に強い力で引っ張られ、尻餅をついた。

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