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キラキラ

第31章 イチオクノ愛


「まあ……昨日連れて帰って思ったけど、こいつ変に鳴かないし、何でも食うし、変なとこで糞したりしないし……飼いやすいかもなぁ」


一匹いないって、どっかの番組で大騒ぎしだすまで、ここにいたらいいんじゃね?

と、言って、リーダーがふにゃりと笑い、俺の頭をよしよしと撫でた。


「俺らの言うことを、不思議と理解してるみたいだし」

「……ほんと?」

「話しかけたら頷いたもん」

「あはっ……マジ?」



くふ。マジよ。



俺は、尻尾をふりながら、にのにぎゅーっと抱きついた。

もはやこの二人には、俺をテレビ局に返したりする選択肢はなくなったようだった。


良かった……マイペースな二人組に拾ってもらえて。
これが、翔ちゃんたちだったら、真面目に飼い主探しをしそうだもん。
飼い主なんて、もともといないから見つかるわけもないけどさ。


俺が、フンフンとにのの頬を舐めたら、にのはくすぐったいよ、と可愛らしく笑った。

おーし。
やっとにのを守れる場所につけれた。
こんな姿じゃできることも知れてるけど、俺にできることならなんでもするからね。

俺は、心に決めてにのにくっついた。

そんな気持ちが伝わったのか、いつも、当たり前のようにゲーム機を取り出すにのは、撮影以外、この日はずっと俺の相手をしてくれていた。






「ほんとに、連れてきちゃった…」

にのが独り言をいいながら、俺をリビングの床におろした。


うわーい!
にのの家だ!


俺は嬉しくてそこらじゅう嗅ぎまわって、にのの匂いを堪能した。
なんたって嗅覚が犬だから、こうやって部屋にいるだけなのに触れ合ってる距離感なみに、にのに包まれてる感じがする。


ふー、やっぱり安心する!
しっくりくるんだよねぇ。


そのまま、にのの定位置にコロンと寝そべった。

テレビもよく見えて、クッションの柔らかさの塩梅もよいこの場所が、一番にのの匂いが強い。


「……そこ俺の特等席って知ってるの相葉さんだけだったのに。おまえも分かるんだね」


にのがクスリと、笑った。


そりゃそーさ。
だって、俺だもん。


俺は、ウンウンとうなずいて、にっこり笑って見せた。

にのは、柔らかな笑みを浮かべながら、キッチンにゆき、冷蔵庫のなかを物色し始めた。


「なに食べようかなー…てか、おまえなに食う?」

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