
キラキラ
第31章 イチオクノ愛
リーダーの今日の仕事は、にのとテレビ誌のスチール撮りだったようだ。
二人きりということは、もちろん偽相葉がいない。
俺にとっては、まさに、にのに会うのにうってつけの現場だった。
リーダーに抱っこされて楽屋に現れた俺を見て、にのが、あれ、と目を丸くした。
「そいつ……」
「んー。なんか、昨日、成り行きで連れて帰ったんだけどさ。にのの方になついてるっぽかったから連れてきた」
ん、とリーダーが差し出した腕の中から、俺は、ぴょん、とにのの腕にうつった。
香りも違えば、胸に抱かれた時の体の柔らかさも違う。
リーダーは筋肉質のせいか、固かったけど、にのは、なんかふにふにしてて、気持ちいーや。
クンクン言って、にのにしがみついたら、にのはクスクス笑って俺の頭を優しく撫でた。
「お。やっぱなついてる」
「ふふ。なんでだろ………でもさ、俺自身も、なんか、わかんないけどこいつを手元に置いておきたいって思ったんだよねー」
独り言のように言うにのに、あ、分かるかも……とリーダーが同調した。
「俺も。昨日も無視できなくて。見捨てられなくて。なんか、ほっとけなくて。……だから、連れて帰っちった」
「……不思議だね」
俺を真ん中にして、二人がウンウンうなずいてる。
俺はなんだか感動してしまった。
言葉も通じないのに。
俺の思いが伝わってるってことでしょう?
俺のことを感じ取ってくれていると思いたいよ。
「でも……どーすんの、にの。飼うわけにはいかないだろ」
「う……ん」
俺たちは仕事柄、ペットなんて飼えないのはあたりまえ。
スケジュールがおせば、家に帰るのも不規則になり、ひとたびライブにでれば、それこそ3、4日留守にすることとなる。
「……とりあえず、現場につれてきちゃおっかな、と思って」
ポツリというにのに、リーダーは肩をすくめた。
「どこぞの大物俳優みたいなことすんだな」
「もちろん、マネージャーに預けるよ?……だって。さっきも言ったけど……なんかほっとけないんだもん……」
なあ?と俺に顔を近づけてくるから、俺はにのの鼻の頭をペロリと舐めた。
