
キラキラ
第30章 hungry 2
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待てど暮らせど、あれから、大野さんからのコンタクトはなかった。
大野さんの実技試験は無事に終わったのだろうか。
合格発表はいつだろうか。
とても気になるけれど、俺から連絡をとる気には、さすがになれなかった。
俺の言葉に対し、大野さんがどう思ったのか全く読めないせいだ。
全力で否定にかかられてるかもしれない。
気持ち悪いと思われたかもしれない。
もしそうならば、自ら大野さんの冷たい視線を浴びにいくほど、俺はマゾじゃない。
……勢いで気持ちをはきだしてしまったのはいいが、そのあと起こり得る事態に対し、ノープランだったのは、失敗だったかも……。
現状は確かに、変わったかもしれないけど。
告白してしまったあとの方がはっきりいって、辛い。
大野さんがどうでてくるか、わからないこの宙ぶらりんな状況は、想像以上にきつかった。
「はぁ……」
ベッドで丸くなり、キリキリする胃を押さえる。
サボりにきてるのに、ほんとに調子悪くなってりゃ世話ないよな……。
毎日普通の顔をして、ギリギリまで頑張っていたけど、日をおうごとに、一向に鳴らないスマホに絶望しか感じなくなり、俺は保健室に入り浸った。
俺の様子で、全てを察したのか、松潤は何も聞かず約束通りベッドを貸してくれて。
午前中一時間、とか、午後一時間、とか過ごしたら、適当に教室に帰っていたが、今日は朝からずっと保健室にいる。
胃が痛くて、気持ち悪いせいだ。
「……おまえ、ほんとに、具合悪そうだな」
気遣う声に顔をあげたら、ベッド脇に立っていた松潤が、身を屈め、俺の額に大きな手のひらをあてた。
そのぬくもりに思わず泣きそうになり、俺は、ふいっとそっぽをむいた。
「……胃が痛い。薬」
「あほ。保健室では投薬はできねぇ」
そのまま数回髪を撫でられるのが気持ちよくて、俺は黙ったままじっとしてた。
「で?あれから連絡あったのか」
「……なんにも」
「そうか」
「やっぱ、好きだなんて言わなきゃよかった……」
「……そんなことねぇだろ」
松潤は優しい声で否定した。
「あのままだと、お前は前にも後ろにも進めなかった。結果はどうあれ、今のお前は、ちゃんと前に進んでる。違うか?」
待てど暮らせど、あれから、大野さんからのコンタクトはなかった。
大野さんの実技試験は無事に終わったのだろうか。
合格発表はいつだろうか。
とても気になるけれど、俺から連絡をとる気には、さすがになれなかった。
俺の言葉に対し、大野さんがどう思ったのか全く読めないせいだ。
全力で否定にかかられてるかもしれない。
気持ち悪いと思われたかもしれない。
もしそうならば、自ら大野さんの冷たい視線を浴びにいくほど、俺はマゾじゃない。
……勢いで気持ちをはきだしてしまったのはいいが、そのあと起こり得る事態に対し、ノープランだったのは、失敗だったかも……。
現状は確かに、変わったかもしれないけど。
告白してしまったあとの方がはっきりいって、辛い。
大野さんがどうでてくるか、わからないこの宙ぶらりんな状況は、想像以上にきつかった。
「はぁ……」
ベッドで丸くなり、キリキリする胃を押さえる。
サボりにきてるのに、ほんとに調子悪くなってりゃ世話ないよな……。
毎日普通の顔をして、ギリギリまで頑張っていたけど、日をおうごとに、一向に鳴らないスマホに絶望しか感じなくなり、俺は保健室に入り浸った。
俺の様子で、全てを察したのか、松潤は何も聞かず約束通りベッドを貸してくれて。
午前中一時間、とか、午後一時間、とか過ごしたら、適当に教室に帰っていたが、今日は朝からずっと保健室にいる。
胃が痛くて、気持ち悪いせいだ。
「……おまえ、ほんとに、具合悪そうだな」
気遣う声に顔をあげたら、ベッド脇に立っていた松潤が、身を屈め、俺の額に大きな手のひらをあてた。
そのぬくもりに思わず泣きそうになり、俺は、ふいっとそっぽをむいた。
「……胃が痛い。薬」
「あほ。保健室では投薬はできねぇ」
そのまま数回髪を撫でられるのが気持ちよくて、俺は黙ったままじっとしてた。
「で?あれから連絡あったのか」
「……なんにも」
「そうか」
「やっぱ、好きだなんて言わなきゃよかった……」
「……そんなことねぇだろ」
松潤は優しい声で否定した。
「あのままだと、お前は前にも後ろにも進めなかった。結果はどうあれ、今のお前は、ちゃんと前に進んでる。違うか?」
