
キラキラ
第29章 バースト7
このあたりだ、と智兄に言われて、注意深く降下して降り立ったのは、山の中にある隠れ家のような小料理屋。
大通りから一本中にある道添いにあり、どちらかといえば車でしか来れないような立地だ。
店の扉には定休日の札。
「……ここ?」
扉には窓はないため、店内の様子を伺い見ることはできない。
当然のように鍵がかかっているから、開かない。
智兄を振り返ると、軽く目を閉じてた智兄が、突如カッと目を見開き、
「翔!開けろ!!!」
と、怒鳴った。
「!!」
弾かれるように、扉の鍵をチカラであけ、蹴破るように店内にはいった。
瞬間、目に飛び込んできたのは。
奥の座敷で、体を動かす男とそれに揺らされてる白い足。
……時が止まった。
…………多分息も止まった。
覆い被さっていたやつと、その横に座っている男が、驚いたようにこちらを振り返った。
その片方の男の顔に覚えがあった。
確か映画館で出会った。
潤に馴れ馴れしく話しかけていた……あいつだ!
そいつに組敷かれてる裸の……裸の……
数秒ですべての情報が脳内で処理され、俺の髪がふわっと逆立ち。
その場にいた男たちがまとめて空中にうく。
「うわっ」
「うおっ……なんだ!?」
下半身をだらしなく露出したそいつらの格好が、すべてを物語っていた。
……座敷にはピクリとも動かない白い肌。
あれは……
潤?
「………てめーら」
ふつふつ沸いていた怒りが、ぐわっと、一気に爆発した。
チカラが、台風のように渦を巻き、周りのメニューやらチラシやら、軽いものも一緒に巻き上がる。
男たちの表情が、恐怖に歪んだ。
「ぶっ殺す!!!」
沸点まで達したチカラを、暴発さながら一気に解放しかけた瞬間。
「やめろ!翔!!」
智兄が叫びながら飛びかかり、俺の体を抱きしめた。
「離せ!!智兄!!」
「駄目だ!殺すな!」
「許さねぇ……ぜってー許さねぇ!!」
「一線は越えるなって言ってるだろーが!」
「許さねぇ!!」
智兄のチカラが覆い被さってきて、うまく解放できない。
力ずくで、智兄をひきはがそうとしたとき、パン、と鋭い痛みが頬をうった。
