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キラキラ

第29章 バースト7


「え……なにこれ」


俺たちのような帰宅部と、同じ時間帯にでてきた雅紀を見つけた出待ちの女生徒たちから黄色い歓声があがる。

雅紀は、あまりの迫力に後ずさった。


やれやれ……


俺は肩を雅紀の肩を抱いて、教えてやる。



「お前の追っかけだよ……」

「まだいたの?!」

「毎日来てる子もいるぜ」


いい加減覚えてしまった子もいる。

実は、この騒動も一時期収まったのだが、テスト前に部活が休みになるというのは、どこの学校も一緒。
だから、彼女らは僅かな期待を持ってやってきたのだろう。

テンションのあがった子たちに、手作りの品やら、手紙やらを渡されて、雅紀は目を白黒させている。


ま、やっと会えたんだろうから、少しくらい相手してやれば、と苦笑いしていたら、目の端にいつもの長身がうつりこんだ。


「やあ、松本くん」

「……」


今や名前まで覚えられてしまっている。


「あれイベントで、グランプリかっさらっていった子じゃん。同じ高校だったんだね」


今さら……。

こいつのいうことは全て胡散臭いっつーんだ。

早くこの場を離れたいのに、雅紀が戻ってこないから身動きがとれない。


「俺とのこと考えてくれた?」

「……いえ」

「もー。つれないなぁ。そんなとこも好きだけど」



……こんな台詞、翔が聞いたら、お前殺されるぞ、と思う。



「お待たせ……って、あれ、友達?」


バタバタこちらに走ってきた雅紀が、ウツミに気づいて、立ち止まった。



「どーも。松本くんの彼氏候補です」

「っ!……何いってんだ!変質者!」


俺の反応と、ウツミのテンションの違いに、雅紀の顔が、訝しげに曇った。



「潤……?」

「……ちげーよ。ずっと、つきまとわれてんだ……」


吐き捨てる俺の反応は、ウツミは軽くスルー。
さらには、


「だって、今松本くん恋人いないんでしょ。俺、超タイプだから、めちゃ狙ってるとこ」


まるで、昼間に食べたメニューを語るようにさらりというウツミ。


「恋人が……いない…?」


雅紀が唖然としてつぶやく。
俺は、あわてて否定した。


「違う、雅紀」


ところが、それに被せるように、ウツミがほざく。


「え、松本くん言ってたよ?黒髪のイケメンくんとは付き合ってないし、自分はゲイじゃないって」

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