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キラキラ

第29章 バースト7

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ウツミという男は、まことに気味が悪い男で。

それからも、事あるごとに俺の周りをうろちょろと現れた。

翔にいらぬ心配をさせるから、話してはいないが、最近は雅紀の出待ちの女の子にまぎれて、俺の下校にあわせてやってくる。

ガン無視をつらぬいてはいるが、へらへらとついてきて、自分とつきあう気になったか、とつきまとう。

一度、下校の時間をわざとずらすために、自主早退してみたが、その日に家の近くのコンビニに行くと、バッタリ出会ってしまい、今日は休んでたの?ときかれ、さすがに震えた。


変質者みてー……。


家まで特定されてる可能性すらある。
肉体的危害を加えられたわけではないが、精神的にやられそうだ。

こいつは、今の俺の最大のストレスだった。



「はぁ……」


授業が終わったが、学校から出る気になれず、机に突っ伏していたら、肩をポンポンとたたかれた。


「じゅーん。久しぶりに一緒に帰ろーよ」


曇りがちな気分に、パッと差し込む太陽の光のような笑顔をみせるのは隣のクラスの雅紀だ。


「……おまえ、部活は?」

「今日からテスト一週間前だから休み」

「……あ、そうか……」



早いもので期末テストが、目前にせまっていた。
全く対策していない。
というより、あの日から大野家に行ってない。

智さんに、痴態を見られたから恥ずかしいのもある。
だけど、一番は、……翔の目を真っ直ぐ見る自信がなくて。

なんやかやと理由をつけては、行くのを避けていた。

今回は……赤点必至だな……。

彼のあきれたような笑顔を思い、自然と苦笑いになった。


「今からさ、かずと待ち合わせて、マクドで勉強するんだ。潤も来る?」

「……いや……いい」


誰が好き好んでお邪魔虫になるかっての。

でも、店までは雅紀と行動しよう、と決めた。
一人でウツミに相対するのは、少ししんどくなってきていた。

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